「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」を読んだ

何を読んだ?

なぜ読んだ?

同僚にオススメされた。

目次は?

  • 第1章 動物のサイズと時間
  • 第2章 サイズと進化
  • 第3章 サイズとエネルギー消費量
  • 第4章 食事量・生息密度・行動圏
  • 第5章 走る・飛ぶ・泳ぐ
  • 第6章 なぜ車輪動物がいないのか
  • 第7章 小さな泳ぎ手
  • 第8章 呼吸系や循環系はなぜ必要か
  • 第9章 器官のサイズ
  • 第10章 時間と空間
  • 第11章 細胞のサイズと生物の建築法
  • 第12章 昆虫―小サイズの達人
  • 第13章 動かない動物たち
  • 第14章 棘皮動物―ちょっとだけ動く動物

どんな本?

どんな動物でも「時間は体重の1/4乗に比例する」というキャッチーな言葉からはじまり、サイズが異なると生物の姿形や生活や時間などあらゆる価値観が変わるということを教えてくれる本。生物学の入門書。

サイズが大きいと表面積の関係で体温を一定に保ちやすい。また体温を高く保つこともできる。これにより速く動きやすく外敵に狙われにくい。つまり生活する上で環境に左右されにくい。

サイズが小さいと一世代間の変異サイクルが早いので環境適用するための突然変異を発生させやすい。また、他の変異グループと地理的に隔絶されやすいので自然淘汰されたものだけが残りやすい。よって環境へ適応した種を生みやすい。

サイズの大小にはそれぞれ利点があり、どちらが完璧というわけではない。

どちらのサイズにしてもその道で生きのこる術はある。

この本では生物のサイズ差を皮切りに様々な生物の体のデザインについて独自の考察も交えながら解説していく。

最初から最後までゾウからテトラヒメナのような微生物までの生物の話しかしない。

でもなぜか人間の人生にも通づるようなインスピレーションを得られそうな知見がたくさんつまっている。

島のような孤立した空間に住む動物は大きいものは小さくなり、小さいものは大きくなる傾向にある。これを「島の規則」という。大きなサイズ/小さなサイズを維持するためには何かしらの無理が働いている(例えばゾウはデカすぎて骨格的にギリギリだ)とか。

この「島の規則」を日本に適用してみるとどうだろうか、出る杭は打たれ、平均が好まれる空気感の土壌にはそんな規則が関わっているかもしれないなどと考えたりしはじめると妄想が止まらなくなる。

20年以上前に発刊された本ではあるが、全く古さを感じない、いわゆるこれが名著というやつなのだろう。

この本は読書感想文を書くのにぴったりの本な気がする。

誰におすすめ出来る?

最近発想が凝り固まってきたなと感じる人。

棘皮動物」という文字が読めない人(著者は棘皮動物が専門)。

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