『精神疾患』
『精神疾患』という本を読んだ。
この本は一般の読者向けに書かれた精神医学についての入門書。
先日発達障害について書かれた本を読んだのだが、その過程で他の精神疾患についても基礎的な知識を得たいという思いが湧いたので手に取った。
構成は1~4章までを精神医学の特徴、精神疾患の種類とその診断、歴史的な経緯など概説に割き、後半の5章からは具体的な疾患についての特徴と症例について説明していくという流れ。
「統合失調症」と「うつ病」は世間でも名前くらいは認知されていると思うが、実際精神医学の世界でもこの二つは古くから研究されているようで、実際に全精神疾患者に占める割合も多いようだ。
そういう背景もあってか「統合失調症」と「うつ病」でそれぞれ章が割かれている。
「発達障害」も章を一つ割かれて解説されているが、前回読んだ「発達障害 (文春新書)」のほうが具体的な症例などに関しては豊富であるのでそちらを読むと良いと思う。
また、薬についての章では各疾患とそれに効果があるとされている薬の主な商品名が解説されている。
Twitterなどでよく「お薬服用ツイート」を見ることもあるが、今後はそういう人の症状がざっくり理解できるようになる気がする。
少し思い出しただけでもここに載っている薬を服用している人がタイムラインにいて、大体は睡眠薬なのだなというのがわかった。
話はそれたがこの本を読むことで精神疾患の具体的な症状、幻覚や幻聴や各種妄想による不可解な行動などについての理解を得られたのは大きい気がした。
というのも普段街中を歩いていて突然奇声を発する人とか虚空を見上げて何かをつぶやいている人などを結構見かけると思うが、何も知らないとただ不気味で怖い人というレッテルを貼って終わりになる。しかしある程度各種疾患の症状を理解していると、彼らはそうした疾患の一部の症状が出ているだけの人(かも)という理解ができるようになる。
それによって何か行動が変わるというわけではないのだけど、少なくともなんとなく過度に反応するよりも正常な判断ができるようになるはずだ。
コインハイブの行き過ぎた逮捕の裏にも正しい知識の無い人達の「なんとなく危なそう」という過度な警戒が引き起こしているわけで行き過ぎた行動の裏には何かしらの無知があると思う。
最低限の正しい知識を身につけることの利点はココで、全員が同じ土俵に立ち適切な判断ができるようになる。横文字だとこれをリテラシーというのかもしれない。
現在精神疾患の患者数は日本で300万人を超えていて約30人に1人はなんらかの精神疾患を罹患しているという状況だし、今後は発達障害も含めこれら疾患への理解は重要になるはず。
この本はそうした理解の下支えになるような一般書なので一読の価値があると思います。
以下はメモツイートです。
"本来の精神疾患は単なる疾患として考えるべき。特別扱いすべきではない。"
— 宮崎由加(24) (@razokulover) June 14, 2018
信頼できる
精神疾患の分類表がまた出てきた。DSM-5だけじゃなくてICD-10という分類表もあるっぽい。前者が臨床研究で使用されることが多く後者は障害年金や自立支援の診断など診断統計として用いられることが多い。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) June 14, 2018
DSMは診断システムが不十分という批判があったり、新たな病気を定義しすぎてあらゆる精神状態を障害に変えたという批判もある
— 宮崎由加(24) (@razokulover) June 15, 2018
"患者をカゴに入れたり椅子に括り付けたりして回転させショックを与える回転療法"
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
中世ヨーロッパの精神疾患者への治療法すごい
フロイトがボロクソ言われててウケる…
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
1950年代以降から向精神薬の研究が進み精神疾患者の治療期間が革命的にに短くなった。これにより収容施設が減ってコストがかなり抑えられるようになった。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
統合失調症
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
主な症状: 症状は多様。陽性と陰性タイプがあり、前者は幻覚と妄想、後者は意欲減少や社会的ひきこもりなど。
原因:脳の神経伝達物質の不均衡と考えられている
その他:回復に長い期間を要する。服薬をやめると九割以上が再発する。改善によって自らの不運について強く認識してしまう。
躁うつ病
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
主な症状:活動性の亢進・誇大妄想の躁状態とうつ状態が繰り返して出現する
その他:家族に精神疾患の患者がいる場合が多い
うつ病
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
主な症状:憂鬱な気分と意欲減退の障害。全身の疲労感・睡眠不足等の身体症状も特徴。不安発作や焦燥感や衝動性・妄想幻覚まで症状は多様。
その他:休養と薬物治療が主。心因性のものから環境要因のケースもある。
うつ病の三大妄想
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月15日
・罪業妄想: 自分は罪深い存在であると確信する妄想
・貧因妄想: 事実では無いのに非常に貧乏になってしまったと思い込む妄想
・心気妄想: 自分は重大な疾患に罹患していると訴える妄想
発達障害
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月16日
自閉症スペクトラムとADHDに2分される。
前者は自閉症・アスペルガー障害。一つのものへの執着や特定分野以外への無関心、それによる対人関係の不得意など。後者は多動・衝動と不注意が主。
どちらも思春期前から発症していること。
H28の一般刑法犯の検挙人員の総数に占める精神障害者およびその疑いのある人の割合は1.8%。一方で罪名ごとの人員総数を見ると精神障害者の割合が殺人(14.8%)、放火(20.3%)とかなり高くなっている。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月16日
向精神薬の種類
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
抗精神病薬
- 主に統合失調症に用いられる
- 幻覚妄想改善・鎮静作用
- 定型抗精神病薬: セレネース・コントミン
- 非定型抗精神病薬: リスパダール・ジプレキサ
- 非定型抗精神病薬のほうが副作用が少ない
抗うつ薬
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
- 三環系抗うつ薬
- 強い薬。副作用多め
- トリプタノール
- 四環系抗うつ薬
- 三環系より副作用少ない
- SSRI・SNRI(新規抗うつ薬)
- セロトニン(+ノルアドレナリン)系の活性化
- SSRI: デプロメール・パキシル・ジェイゾロフト・レクサプロ
- SNRI: トレドミン・サインバルタ
抗不安薬
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
- パニック障害・うつ病・うつ状態に対して用いられることが多い
- 不安感・緊張感に対して効果がある
- ソラナックス・ワイパックス・セルシン・レキソタン
睡眠薬
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
- マイスリー・ハルシオン・サイレース・ロヒプノール
気分安定薬
- 躁・うつに有効
- バルプロ酸・カルバマゼピン・ラモトリギン
精神刺激薬
- ナルコレプシー・過眠症・ADHDに有効だが現在では一部制限されている
- リタリン・コンサータ
抗てんかん薬
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
- フェイニトイン・フェノバルビタール・バルプロ酸
- 一部躁うつ病にも用いられる
抗酒薬
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
- アルコール依存症に対して用いられる
- 飲酒すると不快な身体的反応が起こるようになる
- これによって飲酒を心理的に抑制する
- アルコールを直接飲みたくなくなるというわけではない
DALYという疾病による負担の指標によると、うつ病は障害全体の5%とかなり高いにも関わらず医療費の予算配分がかなり少ない。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年6月17日
DALYについては↓https://t.co/T1k0iYwkMk