『LGBTを読みとく ──クィア・スタディーズ入門』を読んだ

最近は「よく聞くし何となくわかってるつもりになっていること」をちゃんと学んでみるというのにハマってる。

その一環として今回はLGBTというよく耳にする言葉をタイトルに冠していた本を読んでみた。

目指すところはLGBTセクシャルマイノリティという言葉についてぼんやりとした認識をクリアすること。

恥ずかしながら自分はこの手の話題については全く無知だった。なのでそれぞれは聞いたことがある言葉だけど、ではいったいどういう意味なのかがよく理解できていなかった。

一方でスタンスとしてよくわからんけど受容していくぞみたいな無知な寛容さだけは備えていたので、自分は理解がある人間だという勘違いをしていたように思う。

この本ではそういった人々に批判的で、良心ではなく正しい知識を身につけることが本当の理解につながるという点を強調している。

前半の章では性別・性自認性的指向の側面で多様な性のありようが存在すること、同性愛やトランスジェンダーという言葉に対するよくある勘違いなど覚えておくべき基礎知識を分類整理しているが、自分にとってはこの章がまずはしっかり理解できたことが収穫だった。

今までは男女という2パターンでの分類を中心にしか生活していなかったが、性別・性自認性的指向の観点を手に入れるだけで性への見方が新しいもの変わった。

これまでの典型的な男女イメージは「性別は男で性自認が男で性的指向が女性」と「性別は女で性自認が女で性的指向が男性」であるにすぎない、ということがわかる。

他の自認や指向を持つ人も自分たちとなんら変わらないということを理屈で理解できるのはとても進歩だ。

ただのレッテル貼りになんの意味があるのかという意見もありそうだけど、それぞれの在り方に対して同じ尺度を使って適切にラベリングできるというのは全員を同じ土俵に載せられるという意味でそれだけでも価値がある。

インターネットでも多様性という言葉があちこちで飛び交う時代なので、性別・性自認性的指向といった性科学の先人たちが発明してきた思考の補助線くらいは最低限インプットしておいても損はないはず。

そんなに分量が多い本ではないし、基礎知識の記述箇所ならせいぜい1~4章くらいまでなので気軽な気持ちでサクッと読んでみるとよいと思います。



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