「Inspired: 顧客の心を捉える製品の作り方」を読んだ
この本は2,3年前にプロダクトマネージメントとかが流行り始めたあたりで各所でおすすめされてた本。
今更ながら読んでみた。
単刀直入にいうとこの本はプロダクト開発を行う、プロダクトマネージャ・デザイナ・エンジニア・マーケターといった全ての人が読むべき1冊ではないかと思う。
特に新規で何かプロダクトを開発しようとしている人たちにとってはアンチパターンを踏まずに成功する製品を作るための良い道しるべになってくれるに違いない。
本書ではプロダクトマネージャの役割・なすべきこと・やってはいけないことが明確にわかりやすく書かれている。
なのでプロダクトマネージャ、もしくはそれに類する役割をになっている人には必ず刺さる一文があるはず。
個人的には「プロダクトマネージャは製品の成功を確信できなければならない」というやつと「作る価値のあるものを与えられなければいくらエンジニアチームが優秀でも意味ない」が好き。
成功すると確信できるまで検証しきるのがプロダクトマネージャの仕事であり、そうでないのであれば怠慢であり、もっと検証されなければならない。製品の成功も失敗もプロダクトマネージャの責任だ。
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- プロダクトマネージャ
- プロダクトマーケター
- プロジェクトマネージャ
- インタラクションデザイナー
- ビジュアルデザイナー
- エンジニア
これらの役職がそれぞれ何なんのかちゃんと理解できているだろうか。
第1部では良いプロダクトを作るために必要な人員構成についてもその役割も合わせてシンプルに説明してある。
もしプロダクトマネージャを初めて任されたなんて人はそもそも各役職のメンバーが何をするのかといった責務すらわからないだろう。
また会社を創業しようとかプロダクト開発チームを新たに編成しようとする人たちもどういったチーム構成にするのがベストなのかといった指標を得ることができるはず。
これを知らないと、ベンチャーによくありがちな創業者がプロダクトマネージャとインタラクションデザイナーをかねて、製品の調査と検証が十分に行われないままエンジニアチームの開発がはじまり、途中で追加される仕様やデザインによって最終的なアウトプットが納期を超えてしかも中途半端なものになるといった失敗をしてしまう。
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筆者は良い製品を作りたいという依頼人におすすめするのは「良いプロダクトマネージャとインタラクションデザイナを雇うことだ」と述べている。
初期フェーズで正しい製品を見つけ出すことが全ての肝だ、と言っていてそれはプロダクトマネージャとインタラクションデザイナーによるハイファイプロトタイプとユーザーテストの繰り返しによって成される。
なので彼らを雇うのが成功する製品開発にもっとも近い道になるという。
そのほかに「あ〜〜〜わかる〜〜〜」と首を縦に振りすぎて折れそうになるほどの失敗例に対してこうすべきという解決策が提示される箇所がたくさんあるので、今まさに製品開発に悩んでいるというそこのあなたにも特に刺さるに違いない。
もしプロダクト開発をゼロからはじめますという人がいたら2、3冊まとめて投げつけたいほどの良い本だったので読んでみるとよいかと思います。
ツイートメモ
Inspiredというプロダクトマネージメントに関して書かれた本を読みはじめた。自分が普段から思っていた「作る価値のあるものを与えられなければいくらエンジニアチームが優秀でも意味ない」ということが明確に書いてあって信頼できる。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月28日
目次だけでもどうぞ。 pic.twitter.com/65sKauiyRy
プロダクトマネージャーの役割
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・製品の至上性を評価すること
・開発すべき製品を定義すること
UXデザイナーの役割
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・製品が対象とするユーザー(ペルソナ)を深く理解した上でユーザーにとっての作業効率のいいタスクやナビゲーションやフローを設計すること
プロジェクトマネージャーの役割
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・決まった製品定義に従い、開発プロジェクトのスケジュールや工程・進捗を管理すること
プロダクトマーケティングの役割
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・製品を世界中に知らしめること
・製品の外装を決めること
・オンラインや市場関係者に対する製品のマーケティング活動を指揮すること
役割ごとの人数比
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・5~10人のエンジニアに対して1人のプロダクトマネージャー
・1人のUXデザイナーに対して2人のプロダクトマネージャー
・ビジュアルデザイナー1人で4人のインタラクションデザイナー
・エンジニアが5人以上のプロジェクトなら1人の専任のプロジェクトマネージャー
プロダクトマネージャとプロダクトマーケティングの役割は曖昧にされがちだが明確に異なることを理解する。曖昧にしたまま役割分割したり一人が両方を兼ねたりすると責任の所在がわからなくなる。一つの製品には一人の人間がいる状態にする。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
インターネットサービスではこまめにリリースし開発改善をしつづける必要がある。よってリリース管理に工夫が必要になる。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
プロダクトマネージャとプロジェクトマネージャを分ける理由の多くはここにある。
優れたプロジェクトマネージャの要素
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・緊迫感
・立案者たること
・明晰な思考力
・データ指向
・決断力
・判断力
・姿勢
緊迫感がTOPに来てるの面白いな。正確にリリーススケジュールを守るためには厳しさも必要ということか...
UXデザインの中身
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・インタラクションデザイン=ユーザーの行動を設計。ワイヤーフレームとか作る。
・ビジュアルデザイン=ワイヤーフレームに肉付けする。ユーザーの感情を呼び起こす。
・ラピッドプロトタイピング=素早く何度もプロトタイプを作る。
・ユーザビリティテスト=ユーザー調査と分析
・リモートメンバーが多い時は製品仕様を完璧にする
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
・顔を合わせられるならそれが1番
・良いメンバーを集めるための外注以外止めろ
・エンジニアからコードの書き直しがしたいと言われたらそれはプロダクトマネージャが悪い。無駄な機能追加を詰め込みすぎたからなので。
製品の測定基準: ネットプロモータースコア(NPS)
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
製品を買った人・利用者に対して0~10点をつけてもらう。10~9点をつけた人を支持者、6~0点をつけた人を批判者とし、支持者の割合から批判者の割合を引いた数がNPS。
NPSの変動で機能の効果を測ったり、プロダクトマネージャの評価を決めたりする。
特注品(特定の顧客の向けに機能追加することで製品の購入を確約してもらう)のはマジで危険。悪い売り上げの典型。ユーザーが幸せになる製品を作る力をぶち壊す。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
↑これ
とりあえず第1部10章までで製品開発におけるチームとそれぞれ人々の役割みたいな概論が終わった。プロダクト作りに必要な知見がしっかりとわかりやすく明文化されてるのでここまで読むだけでも十分すぎるくらい学びがある。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月29日
ベンチャーにありがちな失敗: 正しい製品であるかどうかの検証にしっかりと時間を使わない。自信満々な創業者のその場その場の仕様やデザイン案によってエンジニアに開発をはじめさせてしまう。結果的に確実に使われる製品であるかわからないものを時間をかけて開発してしまう。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月30日
第2部、プロダクトマネージャの具体的な仕事について色々書いてある。が、やはり「正しい製品を見つけ出す」ための調査、インタラクション設計、プロトタイプ作成、ユーザーテストをとにかく繰り返し、成功すると確信できるまで突き詰めるのが一番の役割という感じ。不完全なまま開発するのはやめろ
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月30日
第3部の最後のまとめにある、「プロダクトマネージャが実践すべき10のこと」と「プロダクトマネージャが気にかけるべき10のこと」が端的に要点を抑えすぎていて便利すぎる。
— 宮崎由加(24) (@razokulover) 2018年7月30日