『Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOSとハードウェアの基礎知識』を読んだ
『Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOSとハードウェアの基礎知識』を読んだ。
この本、なぜか知らないが自分のAmazonのオススメとしてずっと表示されつづけていて、いい加減鬱陶しくなってきたので思い切って買ってみた。
購入の動機は微妙なんだけど中身は絶妙だった。
内容としてはコンピューターを構成するOSやハードウェアについてLinuxを対象として図と実験に中心に据えながら全容を解説していくという感じ。
章構成は、
の計8章から成る。
構成自体はこの手の本では一般的なものだと思うが、この本で特筆すべきは図の多さとそのわかりやすさではないかと思う。
例えばこの図、7章ファイルシステムでfsckの問題点を説明してるところ。
武内 覚. [試して理解]Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOSとハードウェアの基礎知識 (Kindle の位置No.3088). 株式会社技術評論社. Kindle 版.
たぶん文字だけでfsckの挙動を理解しようとするのは難しそうだが、丁寧な図があるおかげで直感的にこういう動きなのかとイメージができる。
この「直感的なイメージ」が初学者にはすごく大切で、まずはなんとなくわかった気になれることでその分野に興味も湧くしさらに先を知りたいという好奇心も湧き上がってくる。
「全くわからん」を「なんとなくわかった」にすることに関して、この本は素晴らしいほど良くできている。
hello worldをechoする簡単なコードのstraceコマンドを書いてシステムコールの挙動を追うところもそうだし、ハイパースレッドは本当に効果があるの?という疑問を実際にLinuxのビルドして時間計測してみたりするところもそうだ。
本書では具体的にコードを書いて計測してある現象がどう性能の向上や低下を引き起こすのか実験するセクションがたくさん用意してある。
これらの豊富でわかりやすい図と実験は初心者にとって「直感的なイメージ」を手助けし、コンピュータシステムを完全に理解とはいえなくとも全容をぼんやり捉えるくらいはできるようになるはず。
この本をしっかり理解したあとに「パタヘネ」や「詳解 システム・パフォーマンス」のような無骨な本に取りかかるとスッと読み始められるのではなかろうか。
「はじめに」では想定読者はLinuxを利用する技術者全般/求められるスキルはLinuxのコマンドを少し知ってるくらいの人、と書かれてあった。
本書は彼らが大きな壁にぶつかり心折れることなく着実に技術者への階段を登っていくための絶妙な橋渡しをしてくれるだろう。
なんか技術評論社の回し者みたいな文章になってしまった...。技術書の感想文書くの難しいな。