森博嗣の「読書の価値」という本を読んだ

森博嗣

読書の価値 (NHK出版新書)

という本を読んだ。

この本は読書について森博嗣がどう向き合っているのかについて子供時代からの経験を織り交ぜながら語っていく流れ。

本の構成上自分語りが多いので森博嗣ファンにとってはいいかもれしれないが読書法とか速読術みたいなHowtoを期待している人には合わない。

実用部分だけ要約すると、

本は人と同じであるから、おすすめされるものではなく自分で選ぶべき、たしかに当たり外れはあるけれども全て無駄にならない、無駄にしてしまうのは自分が面白いと感じられるポイントを見つけられないからだ、ゆっくり頭の中で展開しながら読め。以上。

といった感じになり、これが全てだなと思う。

本は人と同じであるからつまり読書は人と会うことと同じである、人と会って話すより簡単にどこでも一人でできる読書という体験はその観点からいうととても効率が良い。

ライフネット生命の創業者である出口さんは「人が成長するためには旅か読書しかない」みたいなことを言ってた気がするが、これは本==人という式が成り立つなら要は知らない人と会うことでしか人は成長できないという意味なのだなと解釈できる。

人の成長とは何かというとたぶん技術力とか資格スキルのようなことではなくて、人間としてのグラデーションというかオリジナリティみたいなものをいかに持つことができるかということだと思っている。

そういう人としての色を出すには他の人とは違うインプットが必要になるので、著者は「ベストセラーは読まない」ということを書いている。

しかも小説家は発想力が他の仕事よりも沢山求められているはずなのでなおさらだ。

自分の場合webエンジニアということもあり、読書というとここ数年技術書ばかり読んでいた。

それに飽きたわけでは全然無いがもう少し視野を広げたいという気持ちもあったので最近は技術書以外の分野の本も積極的に読むようにしている。

読む本はAmazonを開いておすすめにでてくる本ではなく分野だけ選んでそこから適当に決めるというルール。

著者も書いていたがAmazonのおすすめ機能は興味の分野を深めるのには役立つが、広くランダムに新しいエリアから見つけるのは少し難しい。

自分がなんとなく感じていたAmazonへの違和感を言い当てられたような気がして驚いた。

しかしだからといって書店に足を運ぶかと言われると難しい。

最近は電子版がなければどんなに良い本でも買うのをやめるレベルで電子版しか読まなくなってしまったためだ。

電子版が存在する本を分野問わず眺められるサイトでも作ろうかな、と思った。

本を読むということを本を読みながら考えるというメタ的な体験が森博嗣の淡々とした語り口で楽しめる「読書の価値 (NHK出版新書)」は本を読むのが好きな人にも嫌いな人にも損はさせない本だと思う。




以下ツイートのメモ。