LINEのオープンチャットを運用して得られた知見と課題 #openchat
LINEのオープンチャットがベータリリースされました。
リリースとともに自分もいくつかのコミュニティを立ち上げて運用をしています。
今回はその中で気づいた点や改善すべき点についてまとめたいと思います。
他のコミュニティとの違い
オープンチャットについての解説記事は巷にたくさんあるので詳細は割愛しますが、あえて一言で言うと
「LINEで作れるmixiコミュニティ」
です。
特定の話題やクラスタに関してコミュニティを作り、管理者がそれを管理。設定によっては鍵付きにできたり公開範囲を制限できます。
しかしそのほかのインターネットコミュニティと比較しても実は機能として大きく目立った違いはありません。
ではオープンチャットが他のコミュニティと圧倒的に違うところはどこか。
それは
ユーザー数の規模
です。
LINEは日本国内だけでも現在8000万人近いユーザー数がいます。体感としては一部の機械音痴や宗教上の理由を抱えている人を除いてほとんどの人が使ってるサービスです。
オープンチャットはこれらの全年齢のユーザーが参加できます。
年齢認証を終えていないと検索機能が使えないといった制限はあるものの、
これだけの母数の全年齢のユーザーが同一の空間でコミュニケーションできる場というのはなかなか無いのではないでしょうか。
気づき・改善点
以下、オープンチャットを運営していく中で気づいたことや改善すべきだと感じた点を書きます。
匿名性
オープンチャットはコミュニティに入る際にその部屋専用の名前とアイコンを自由に設定できます。
つまり匿名で参加できるということです。古式ゆかしきネカマにもなれます。
LINEは日常のコミュニケーションサービスとして使われているため個人情報を多く登録していたりするユーザーも多いと思うので、匿名で参加できるというのは非常に良い点だと思います。
Banの威力
オープンコミュニティによく発生する問題として「荒らし」の存在があります。
匿名で参加できれば尚更増えます。
この点に関しては強制退会という機能が非常に有用になります。
強制退会機能は管理者権限を持っていれば特定のユーザーをコミュニティから永久追放できる機能です。
他のサービスであれば強制退会させられたとしても、新しいアカウントを作り直せばまた再入場できますが、オープンチャットはLINEのアカウントと紐づいているため複数アカウントを作るハードルが高いです(日常的にLINEを使っているユーザーであればLINEアカウントがなくなると友人とのトークログが消えたり連絡先が消えるのを忌避するでしょう)。
なので強制退会させた後に再度荒らしにやってくる確率が低いです。
この点は実際に管理者をやっていて非常に便利だと感じる機能でした。
完全削除
これも荒らし対策なのですが、管理者であればどのユーザーの発言でもトークログから完全に削除できます。
これは例えばよくある荒らしである通称「スタ爆(スタンプ爆弾)」が発生した時に便利です。
スタ爆をされると過去のトークログをさかのぼりづらくなってしまうのですが、完全削除があればトークログは元どおりです。
消す作業がだるいと言えばだるいのですが無いよりはマシです、
LIFFのAPIが使える(一部除く)
実験したところオープンチャットではLIFFのAPIが使えます。
LIFFが使えるとLINEのMessaging APIもbot無しで使えるのでFlexメッセージを送ったり色々遊べます。
ここに試した時のコードがあるので興味あればどうぞ。
ただ、現在はオープンチャットの匿名性に関する抜け穴がある(LINEのスクリーンネームが取得できてしまう)ので getProfile
に関してのみ利用できなくなっているようです。
個人的にはオープンチャット内でのユーザー名を取得できるようにして欲しいかなと思います。この辺は改善を期待したいところです。
[要望][優先度高] 年齢制限機能
今は全年齢のユーザーがどの公開のコミュニティにも入ることが出来ます。
これはかなり危険だと思っていて、例えば中学生の子がいるコミュニティで性や酒タバコについての話が普通にできるということです。
そのくらいはまだ良いとしても、話が弾んでオフ会でもやれば出会おうと思えば出会えます。界隈にわかりやすく言うと2007~2009年代のGREEやモバゲーのような出会いが可能になってしまうということです。
現時点でも検索機能を使うには年齢認証が必須になっていたりするのですが、管理人観点の要望としては「コミュニテイに入れる年齢に制限をかけさせて欲しい」です。
[要望][優先度高] スタ爆対策
スタンプ爆弾をされたら強制退会にして完全削除をすれば良いです。
が、参加者が多いコミュニティだといちいち対処してるのも面倒になってきます。
なのでスタンプ連投に制限を設けられるようにして欲しいです。LINEの基幹機能に関わりそうなので難しいとは思いますが出来れば...というレベルだけど。
[要望] コミュニティに参加しなくてもシェアリンクが作れる機能
現状、自分が参加してないコミュニティを人に教える手段がありません。
なのでシェア用のリンクを得るにはコミュニティに一度参加する必要があります。
具体的にはこの画面でシェアリンクを取得したいです。
これは地味に不便なので改善して欲しいです。
[要望] 検索のインデックス対象をコミュニティ名以外の要素も入れる
コミュニティを探す時に検索機能を使うのですが、これが結構貧弱なので改善して欲しいです。
今だとコミュニティ名しか検索対象になっていない気がしますが、コミュニティ説明文も検索インデックスの対象に入れたほうが良いかなと思います。
もしくは個数制限付きでタグを設定できるようにするとか。
[要望] botが使いたい
大きいコミュニティになってくると使い方や自己紹介などよく質問されることが増えてきます。
これらを自動化するためにbotを作れると嬉しいなと思います。
厄介な人
#openchat を運営して得た知見として、世の中には
— YuheiNakasaka (@razokulover) August 15, 2019
①ルールを作る人
②ルールを守る人
③ルールを破る人
④ルール違反者をチクる人
というのがいて、一見すると③が厄介なように思えるけど、実は④が正義感を背景に行動している分、強情で扱いづらく無下にもしづらいという点で一番厄介ということ
最後に
現在自分が管理しているオープンチャットは5つくらいあり、参加者はどれも10~100人規模になっています。
それぞれ参加者の層も質も違いますが、概ねうまく回っているのでどれもやりとりしていて面白いです。
まだベータ版の段階なので詳細な機能やガイドラインの整備はこれからかと思われますが、今の盛り上がりをみるとそれなりに使われるサービスになりそうな予感があります。
ただ、日本国内においてTwitterよりも確実に大規模なユーザーベースを抱えるLINEでオープンチャットが正式公開になるのは待ち遠しい反面、不安もあります。
年齢制限の問題/荒らし対策などなど、過去の2chやGREE/mixi然り、現在のTwitter然り、コミュニティは無法地帯にすると破綻しますので、ここは運営の腕の見せ所になるかと思われます。
先に上記で挙げた要望点などがオープンチャットの中の人の改善に少しでも役にたてば幸いです。
何かある人はブコメか@razokuloverまでどうぞ。