歴史好きのおじさんと旨い酒を飲むために「歴史をつかむ技法」を読んだ

モチベーション

自分は歴史全般が苦手だ。高校では世界史は必修で少しやったが、日本史を一切やっていない。

その程度の知識しかないわけだが、親戚に歴史が大好きなおじさんがいる。

彼は毎度会うたびに歴史(とりわけ日本史)の話をしてくる。

これまではただ頷きながら聞き流していたわけだが、そろそろ自分も30歳になるしある程度ざっくりやり直すかという思いになった。

そこでamazonのレビューをあさっていると歴史をつかむ技法 (新潮新書)という本が初学者には良いというレビューが散見されたので読んでみることにした。

この本を読んでわかること

  • 歴史学とは何か

  • 教科書ではなぜあの時系列で暗記していくスタイルなのか

  • 古代から近代までの日本史を一通り浅く概観できる

  • 歴史を学ぶ意味

感想

この本は時系列に起きたことを列挙していくいわゆる教科書的な構成ではなく、

歴史学とはどういう学問で、なぜ歴史の教科書はあのような作りになっているのかというメタ的な視点で書かれる。

一貫して述べているのは歴史学はその他学問同様、科学であると主張している。

過去に起こったことを膨大な史料から真偽を明らかにし、その史実が起きた背景やその時代に与えた影響を考察する。

これは新たな理論を実験や数式で証明し、どう応用するのか研究する普通の自然科学と同様だ。


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また、なぜ教科書が人名や事象のてんこ盛りになるのかを説明している部分もおもしろい。

たとえば幕府という名前のものはその当時にはそもそもなくて、後に歴史として説明していく上でわかりやすいネーミングが必要なので武士が政権を執った政治機構を幕府としましょうとなった。

このように当時はそう呼ばれているわけではなかったが、歴史を流れとしてつかむ上では名前が必要でそれぞれの仕組みや事件に名付けをしていった結果あのような暗記科目のオンパレードになっていたという。

naoya_itoやMartin Fowlerのような名付けによって概念として理解できるようになるみたいなことが歴史の世界でも行われているのだな。


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昔から歴史を学ぶ意味についてどうしてもよくわからなくて、学生時代は敬遠してきた。

特に過去に起きた改革や人を学べば、現代のビジネスや日常生活にもそのまま適用できて良いみたいなやつ。

腹切りとか言って死のうとするような人たちと今の自分達ではあまりにも価値観が違いすぎると思うので全然腑に落ちなかった。

歴史はあくまでも歴史であり、そこに万能の法則はない。

この本ではそのへんの過去の事例を今に当てはめるのは観念というものが時代ごとに違うので無理があると述べていて好感が持てた。

筆者自身は、歴史を学ぶことは今起きていることが歴史という一連の流れの中でどういう意味を持つのかを広い視点で考えられるようになることだ、としている。

それは日々発生する事象をただのニュースとして傍観するのではなく、歴史上の流れの中で意味を考えたりなぜ発生したのかといった見方ができるようになることだ。

いわゆる物の見方が広まるというわけだ。


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この本は時系列で歴史を暗記することが嫌で歴史なんて学ぶ意味あるのかと疑問を感じている人には良いきっかけになると思う。

3,4章では日本の歴史の流れが一通り説明されるのでざっと流れをつかみたいという人にも良いように感じる。

しかしながら、歴史好きのおじさんと旨い酒が飲めるようになるようなマニアックなネタは書いてない。

江戸の町並みと今の東京について熱く語られてもまたポカーンとしてしまう。

結果的にはこの本じゃダメだったんやな...おじさんごめんな。

歴史をつかむ技法 (新潮新書)

歴史をつかむ技法 (新潮新書)