「シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」という本を読んだ

シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感」という本を読んだ。

シャーデンフロイデというのは一時期話題になった"メシウマ"の感情のことである。

シャーデンフロイデ(独: Schadenfreude)とは、自分が手を下すことなく他者が不幸、悲しみ、苦しみ、失敗に見舞われたと見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情 - wikipedia

Twitter上で日々ニュースにされる芸能人の失敗や不倫話などに偉そうに正論を投げつけて悦に浸っている人々の根本にある感情がこれ。

シャーデンフロイデは脳のオキシトシンという物質によって強められる。

オキシトシンというのは元々は安らぎ・癒し・愛など、人間が社会生活を送っていく上でなくてはならない集団の中で育まれる結びつきに機能する物質。

人間は元々集団生活を為すことで生きてきた生物なので集団の規範を乱すものへは厳しくならないといけない。

そこで正しくない人・輪を乱す人・不謹慎な人などを排除するとオキシトシンが分泌され快感であると感じるように作用する。

この物質は一見人間味のある良い効果をもたらすもののように感じるが、それが強く働きすぎることで集団からはみ出すものへ強いヘイトを生み出す原因になってしまう。

集団におけるいじめとか出る杭は打たれるみたいな行動が、輪を守るための団結力や絆に起因しているというのは皮肉な話。



また、ウェーブ実験という話が面白かった。

これはロンジョーンズという高校教師が生徒達に「ウェーブ運動」というナチスと同様のマインドコントロール手法を含む行動規範を提案し、それにしたがって一週間生活しようとはじめた実験。

その行動規範の中身は、

  • 独自の細かいルールを定める
  • それらのルールを徹底的に守らせる

というなんともシンプルなもの。

しかしひとたび実験を開始すると

  • クラス全体の授業効率が上昇し成績が向上
  • これらのルールに対して生徒達は自信を深める
  • ますます厳しい規律を定める
  • 他のクラスへルールを布教
  • ルールに反発するものへ暴力的なことを行うようになる
  • 結果学校中がウェーブ運動のメンバーになる
  • 勧誘は周辺地域へと拡大しこの規律を守らない者への暴力事件や喧嘩等が多発

という当初の予想をはるかに超えた事態となった。

この実験は規範を細かく守り共同体への帰属意識を高めさせられた人々は合理的な判断ができなくなってしまうという人間の脆さを示している。

集団に対して厳しいルールを敷けばいとも簡単にマインドコントロールできてしまうというのは会社や日常生活にも思い当たる節がある人も多いはずだしこれは使えそうだ...と思う人も中にはいそう。

この本にはその関連で他にも、

  • 服を一緒にするだけで帰属意識が高まる
  • 集団をグループに分けるだけで争いがはじまる

などなど集団と人間の強い関係性についてさまざまな実験結果やエピソードを元に書かれている。



集団を乱す人を攻撃することに快感を感じる

これが人間である。

現代のインターネットではニュースやTwitterなどから自分には全く関係のない出来事が日々配信されていて、誰もがそうした中から「悪者っぽい人やもの」を見つけ出しては気軽に正義を振るうことができる。

それは「社会という集団から悪者を排除した偉い私」というアイデンティティを形成し、強く承認されるのでとても気持ちが良い。

実際にドーパミンがドバドバでるらしく性行為なみの快感が得られるのでハマると抜け出せない。

日頃から堀江貴文田端信太郎に血眼になってクソリプを送りまくっているような人にはこの本を読んで少しお休みしてほしいと思いました。

以上です。

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

シャーデンフロイデ: 人の不幸を喜ぶ私たちの闇